子どもとの生活を支えるシングルマザーにとって、仕事とお金の不安はつきものですよね。
「今の収入では、子どもとの将来が不安」
「…とはいえ、新しい勤務先を見つけるのは大変だし、収入が上がる見込みもない…」
このようなシングルマザーにおすすめしたいのが「起業」という選択肢です。
近年、若年層を中心に注目を集めている起業は、実はシングルマザーにとってもメリットとなる要素を多々含んでいるのです。
シングルマザーが起業を成功させるためには、しっかりとした情報収集と十分な準備を欠かすことができません。
今回はシングルマザーが起業するメリットと、失敗しないための起業ステップをひとつずつ解説していきます。
シングルマザーが起業するメリット・デメリット
自らが仕事を起こす「起業」には、「個人事業」と「法人」の2種類の形態があります。
会社を経営する法人に比べ、個人事業は手続きの負担も少なく、シングルマザーでも始めやすい起業形態です。
パートや正社員として会社に属していたシングルマザーにとっては、自らが個人事業主となることが「起業」による大きな働き方の変化と言えるでしょう。
起業後は、会社に縛られることなく、あなた自身で時間と仕事の管理をすることになります。
しかし、それはメリットであると同時にデメリットでもあるということも忘れてはいけません。
せっかく勇気を出して起業したのに失敗してしまわないためにも、まずは、シングルマザーが起業するメリットとデメリットについて確認していきましょう。
シングルマザーが起業するメリット
仕事と子育て、家事を一手に担うシングルマザー。
シングルマザーの起業には、働く母親に嬉しい以下のようなメリットがあります。
仕事と子育てを両立しやすい
あなたが勤務している間、子どもを置いてひとりにさせてしまうことは、働くシングルマザーにとって不安のひとつですよね。
「保育園のお迎えの時間が遅くなる」
「習い事の送迎ができない」
「夜遅くに子どもをひとりにしてしまう」
身近にサポートを頼める人がいないシングルマザーの場合、このように子育てで困ってしまった経験を持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか。
職種によって違いはあるものの、起業した場合、子どもとの生活を軸に勤務時間を調節しやすくなります。
特に、テナントを持たず自宅を職場にする場合は、子どもの緊急時にも対応しやすくなるでしょう。
大幅に年収を上げられる可能性がある
月給が定められた会社員や時間給で働くパート・契約社員と違い、個人事業主はあなたの売上がそのまま収入へとつながります。
そのため仕事が成功すれば、今以上に、大幅に年収を上げられる可能性があることが起業の大きなメリットです。
もちろん、安定した収入を生み出すことは決して簡単なことではありません。
しかし、
「今の仕事を続けていても、将来収入が上がるとは思えない」
「子どもとのゆとりある生活が思い浮かばない」
このようなシングルマザーにとっては、意義ある選択のひとつであると言えるでしょう。

シングルマザーが起業するデメリット
あなた自身が事業主となる「起業」は、シングルマザーにとって大きなメリットを与えてくれます。
しかし、シングルマザーの起業を成功させるためには、デメリットにしっかりと目を向けた上で決断をしなければいけません。
収入に関することは全て自己責任
会社員やパートなどの「雇用される働き方」であれば、仕事量に関係なく毎月まとまった給料を得ることができます。
しかし、個人事業主の場合、その日仕事がなければ収入もゼロになります。
仕事の状況によっては、「今月は月の売上がなかった…」ということもあるかもしれません。
特に、子どもとの生活費をひとりで稼がなければならないシングルマザーにとって、「収入が不安定になる可能性がある」ということは起業の大きなデメリットであると言えるでしょう。
社会的信用が低くなる
起業をする場合、個人事業主より法人形態を取る方が、高い社会的信用を得ることができます。
会社設立時に法務局への登記が必要な法人に対し、個人事業主は税務署へ開業届を出せばすぐに事業を始めることができるからです。
そのため、起業して個人事業主になると、
- クレジットカードやローンの信用審査
- 家や車といった高額物件の取引き
上記のような、会社に属していれば問題のない「お金にまつわる取引」が難しくなる可能性があります。
シングルマザーであれば、教育ローンのような進学にまつわる資金調達も心配になりますよね。
シングルマザーが起業した上で社会的信用を得るためには、毎月安定した売り上げを維持し、それを確定申告で証明することが必要となるでしょう。


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起業に失敗しないための4ステップ
1人で子どもを育てるシングルマザーにとって、起業は「人生の大きなチャレンジ!」だけで済ませるわけにはいきません。
シングルマザーが起業で失敗しないためにも、どのようなステップを踏んで進めていけばよいのか、ひとつひとつ確認していきましょう。
1. ビジネスプランを考えよう!
ビジネスプランとは「誰に」「どのような商品・サービスを」「どのように提供するか」具体的に考える計画です。
「私はこれができるから、やっていけるんじゃないかな」
このように漠然とした計画で起業してしまうと、のちのち仕事に行き詰ったとき、次にどう動けばよいのか分からなくなってしまいます。
ターゲットとなる顧客層・あなたが提供できる商品やサービス・店舗を構えるのかそれともネット上で取引するのか…など、事前に細かくプランニングしておきましょう。
また、マーケティングといって、事前に「ライバル店やサービスを分析する」ことは起業に欠かせない調査となります。
実際にライバル店に足を運んだり、インターネット上で調査することは、あなたがこれから起業しようとしている分野を掘り下げることにもつながるでしょう。
2. 事業計画書を作ろう!
ビジネスプランが完成したら、次は実際に事業計画書に落としこんでいきましょう。
具体的には、
- 1年間で必要な売上(それに対する1か月・1日当たりに必要な売上額)
- 事業を継続させるために必要な固定費(備品・人件費・水道光熱費・オフィス賃貸料等)
- 開業資金
といった、起業にまつわる具体的な計画を立てることになります。
シングルマザーの起業は、売上がそのまま生活費に影響するため、失敗は死活問題です。
「月にこのくらい売上があればいいかな」
このような曖昧な目標設定では、のちのち事業に行き詰ってしまう可能性が高くなります。
特に「1日に必要な目標売上」を設定することは大きなポイントとなるでしょう。
3. 起業に関わる3つの資金
起業にあたって必要となるのが「開業資金」と「運転資金」そして当面の「生活費」です。
開業資金
店舗やオフィスの賃貸契約料や備品購入といった初期投資に関する開業資金は、起業の内容についても大きく変わってくるでしょう。
運転資金
運転資金は、オフィスの賃貸料や水道光熱費といった事業に関する固定費です。
売上の金額に関わらず、毎月出ていく一定の支出となります。
生活費
そして、生活費。
個人事業主は会社員と違い、毎月決まった収入があるわけではありません。
子どもとの生活に必要な、家賃や水道光熱費・食費や習い事の費用をまかなうだけの利益がすぐに出るとは限らないのです。
売上が生活費を下回ってしまった場合、生活を支えることができるだけの貯金額があることも、シングルマザーが起業するための必要なポイントとなるでしょう。

4. いざ、開業手続き!
起業して個人事業主になるためには「開業届」を管轄の税務署に提出しなくてはなりません。
事業開始等の日から1カ月以内に、本人確認ができる証明書と印鑑、必要であれば青色申告承認申請書を持参し、開業手続きを済ませましょう。
手数料はいっさい必要ありませんよ。
「税務署?手続き?なんだかめんどうだし、難しそう…」
こう思いがちですが、税務署に用意してある「個人事業の開業・廃業等届書」の記入はさほど難しいものではありません。
従業員を雇用する必要がない場合、主な記入項目は以下の通りとなります。
- 氏名・生年月日・住所・電話番号
- 職業・屋号(必要なければ空欄可)
- 青色申告書の有無
- 事業の概要
確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2種類があります。
青色申告は白色申告に比べ、帳簿付けが必要となり手間がかかりますが、節税になるというメリットもあります。
青色申告を選択する場合には「青色申告承認申請書」を「開業届」と同時に提出する必要があるため、どちらにするか決めてから税務署へ行くのがおすすめです。
また、開業届はe-Taxからも提出することが可能となっていますよ。
参考 e-Tax「開始届書の提出」開業に必要な書類がどんなものか知っておきたいという方は、ぜひ一度チェックしてみてくださいね。
まとめ|起業で失敗しないために入念な開業準備を
シングルマザーに限らず、起業をする際に必要となるのは「リスクを計算した行動」です。
「継続すれば結果はついてくるはず!」「次こそは!」と情熱を持つのは悪いことではありませんが、失敗が子どもとの生活に直結するシングルマザーなら、尚さらリスクを冒すことはできません。
しっかり計画を立てつつ開業準備を経て、「ここまでやって結果が出なければ、諦めよう」という信念を持つことも大切ですよ。
子どもとの時間を大切にしつつ、収入を上げたいとお考えのシングルマザーは、ぜひ一度起業について前向きに検討してみてはいかがでしょうか。
