「新型コロナウィルス感染症」の拡大防止策として、安倍晋三首相は令和2年2月27日、全国の小中高等学校及び、特別支援学校の一斉休校要請を発表しました。
週明けの3月2日月曜日から、春休みまでという突然の長期休校。
「仕事に行っている間の子どもの面倒は誰がみるの?」
「卒業式はどうなるの?」
「突然すぎてどうすればよいのか分からない…」
当事者である子どもたちはもちろん、保護者も教育現場も、大きな混乱に巻き込まれました。
そのなかでも、預け先のないシングルマザーから多くあがった声が
「賃金のために、仕事を休みたくても休めない」
といった、現実的なお金に関する悩みの声です。
政府は、臨時休校を強いられる保護者に向け、有給休暇中の賃金を全額支給する助成金制度を発表しました。
安倍首相「正規・非正規を問わない助成金制度をつくる」
休校要請から2日後の2月29日、安倍首相は公の記者会見において、次のように新型コロナウィルス感染症防止策について発言しています。
保護者の皆さんの休職に伴う所得の減少にも、新しい助成金制度を創設することで、正規・非正規を問わず、しっかりと手当してまいります
引用:首相官邸「安倍内閣総理大臣記者会見」
具体的なタイミング・金額・対象となる保護者についてのはっきりとした明言はないものの、今回の臨時休校要請は、あくまで上記のような体制を鑑みた上での決断だったようです。
感染拡大のスピードを抑制するためには、今後1〜2週間が瀬戸際という判断のもと発表された、今回の突然の休校要請。
第2弾となる緊急対応策を、今後10日程度のうちに速やかに取りまとめると後述されていましたが、3月2日午後、厚生労働省より以下のような具体案が発表されました。
厚生労働省「日額最大8330円を上限に、休業中の賃金を全額助成する」と発表
厚生労働省は3月2日、臨時休校に伴い保護者が休業した場合、日額最大8330円を上限に、企業が支払った賃金を助成すると発表しました。
対象
対象となるのは、小学校に通う児童の他、高校までの特別支援学校、幼稚園、保育所、認定こども園などに通う子どもを持つ保護者。
正規・非正規問わず、子どもがウイルスに感染した恐れがある症状を持つ場合にも適用されます。
助成額
新たな助成金制度では、事業主が、賃金を全額支給する有給休暇を従業員に取得させた場合、その全額を助成するものとされています。
ただし、支給額は一人当たり日額8,330円が上限とされているので、その点には注意が必要です。
適用期間
適用期間となるのは、2020年2月27日から3月31日の間に取得した有給休暇。
具体的な申請方法や支給の流れなどについては、今後の動きが注目されるところです。
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全国一斉の休校要請、各自治体の対応は?
安倍首相の発表にも休校「要請」とあるように、今回の一斉休校の判断は、実際には各自治体に委ねられる形となっています。
週明けの月曜日を迎えた3月2日現在、各自治体では次のような対応がみられています。
北海道:「分散登校」を検討中
現在、道内で76名の感染者が確認されている北海道では、首相の要請を受け、同日27日に道内全ての小中高等学校の臨時休業を発表。
さらに、鈴木直道知事は、3月1日の臨時記者会見において、「分散登校」を検討している旨を明らかにしています。
児童や生徒を分けて登校させる分散登校は、休校中の子どもたちの状況や、健康状態を把握することが目的とされていますが、働く保護者の負担軽減にもつながる事でしょう。
島根県出雲市:当面休校の予定なし
感染者の確認されていない島根県出雲市の教育委員会は、市立すべての小中学校において、当面は休校せず、通常通りの授業を行うことを決定しています。
島根県は、育児をしている女性の有業率は81.2%と全国で第1位。
参照:「平成29年就業構造基本調査」
未就学児や小学生のいる、共働き世帯への混乱を回避するための決断とされています。
預け先のない児童を小学校で受け入れる自治体も
関西でも多くの自治体が休園・休校を決定するなか、大阪府は、小学3年生以下の児童や障害がある子どもを、学校や幼稚園で受け入れるよう要請しています。
大阪市天王寺区の民間学童保育所は、長期休暇と同じく開所時間の前倒しを決定。
寝屋川市では、保護者が働く家庭を対象に、幼稚園と小学校で子どもの受け入れを実施しています。
このような取り組みは関西のみならず、現場の判断基準に沿って、埼玉県や愛知県など各自治体で実施されています。
「休みたいけど休めない」お金だけじゃない?シングルマザーの悩み
3月2日の厚生労働省の発表により、一斉休校に伴い、有給休暇を取得したシングルマザーの賃金が保証されることが分かりました。
日額上限8,330円の金額制限があるものの、
「子どものために仕事を休みたいけれど、収入が…」
と不安だったシングルマザーにとっては、望みのひとつとなるのではないでしょうか。
しかし、人員不足の現場で働くシングルマザーや、非正規雇用のシングルマザーにとって、「休めない」理由は賃金だけではない場合もあります。
ただでさえ人手不足とされる介護福祉施設や、現在ニーズが求められる医療業界であれば、現場を維持するために出勤を余儀なくされることもあるでしょう。
また、非正規雇用であれば、
「長期休暇をとることによって、次の仕事がなくなるのでは…」
という不安もつきまとうかもしれません。
今回の一斉休校の判断基準ともなった、感染拡大防止の瀬戸際とされている「1〜2週間」。
子どもの健やかな毎日のためにも、子どもを抱える保護者、そして社会を支える全ての人たちのためにも、可能な限り早い段階での終息を願わずにはいられません。