「養育費の支払いを約束したはずなのに、今月も養育費が支払われてない…」
金銭的に余裕のないシングルマザーにとって、子供の父親の養育費未払いは生活に関わる大きな問題ですよね。
しかし養育費の未払いは、調停や裁判、強制執行といった法的な手段で回収することができるのです。
「調停とか難しそう…」
「裁判ってお金がかかりそう…」
このように思って諦めてしまいがちですが、養育費は子どもの将来を守るためにも大切な費用です。
養育費が未払いだけど仕方がない…と諦めることなく、早速対処法についてチェックしていきましょう。
ここでは、
- 養育費とは?
- 養育費の不払いを防ぐ方法
- 養育費を払ってもらえない時の対処法
それぞれ順を追って紹介していきます。
養育費とは
養育費とは、子どもの監護・教育のために必要とされる費用です。
子どもが自立するまでの生活費や教育費・医療費に充てられることになります。
離婚して子どもと離れて暮らしていても、父親には子どもの親であるという責任が残ります。
シングルマザーが家事や仕事に励み、子どもを育てていくように、離れて暮らす父親にも子どもの生活を支える義務が発生するのです。
また、養育費には、親と同じ水準の生活を子どもに保障するという「生活保持義務」も含まれています。
その支払義務は強く、父親が自己破産をした場合でもなくなることはありません。
そのため、父親が「生活が苦しい」「支払う余裕がない」と訴えても、法的には正当に養育費を請求することができるのでご注意くださいね。
養育費の決め方
離婚時には様々なトラブルがつきものですよね。
もう相手と話し合いなんてしたくなかったり、「とにかく早く離婚したい」という気持ちのあまり、養育費の取り決めをしないまま離婚してしまうケースも少なくありません。
養育費は子どもに必要がある限りいつでも相手に請求することができますが、離婚から時間が経過するほど話し合いが難航することが多いため、離婚時に決めておくのがベストだと言えるでしょう。
話し合いで養育費を決め、公正証書に残す
お互いの収入や離婚後の生活プランを元に、金額や支払期間・支払い方法などについて取り決めを行います。
離婚する段階で、夫婦お互いが納得いく金額や内容を話し合いで決められるのが、一番ベストな方法ですよね。
後々の養育費未払いなどを考慮し、決定事項は書面(公正証書)に残すことをおすすめします。
公正証書は、日本各地の公証役場で作成することができます。
開いているのは平日のみ、夫婦二人で赴く必要があるなど、時間と手間はかかりますが、養育費に関する将来のトラブルを考えると、公的な書面に記しておくことがお互いのためだと言えるでしょう。
離婚調停、審判で養育費を決める
話し合いで養育費が決定しない場合には、家庭裁判所に調停の申し立てをすることができます。
必要な費用は、収入印紙1,200円分(子ども1人につき)と連絡用の郵便切手などです。
調停でも話し合いがまとまらなかった場合には、裁判官の審判で養育費が決定されます。
家庭裁判所での決定事項には債務名義と同じような効果があり、養育費が未払いになった場合でも、強制執行(差し押さえ)ができるのが大きなポイントです。
離婚裁判で養育費を決める
離婚裁判は、話し合いや家庭裁判所の調停でも離婚が成立しない場合に行われる裁判です。
裁判では、離婚と同時に養育費の支払い内容についても決定されることになります。

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養育費の相場 – 養育費はいくら払われている?
厚生労働省の調査によると、養育費の取り決めをしている母子世帯は、わずか全体の42.9%。
平均月額は、43,070円となっています。
養育費の取り決めをしなかった理由の21.4%が「相手に支払う能力がないと思った」、18.3%が「相手に支払う意思がないと思った」とされていますが、前述したように、養育費は相手の生活水準や意思に関わらず支払い義務のある費用です。
また、養育費の取り決めをした母子世帯でも、実際に受給を受けている母子世帯は、わずか24.3%という結果も出ています。
つまり、いったん養育費の取り決めをしても、その約半数が未払いで受け取ることができないというケースに陥っているのです。
参考 : 厚生労働省「平成28年全国ひとり親世帯等調査」
このような現状を受け、兵庫県明石市で「養育費不払いなら名前公表」という、全国初の制度が検討されたのは記憶に新しいところですよね。
参考 : NHK NEWS WEB「養育費不払いなら名前公表」 全国初の制度検討 兵庫 明石
「氏名公表は人権侵害」
「子どもへの被害が心配」
こういった避難の声が上がる一方で、実際に養育費の未払いによって生活に困窮しているシングルマザーからは、
「全国でやってほしい」
「逃げ得をさせてはいけない」
こんな声が寄せられています。
養育費を払えるのに払わないという現状が多くみられる中、離婚した夫婦間で子どもを育てる仕組みが必要だということを表していると言えるでしょう。

養育費を不払いにされたらどうしたらいい?
実際に養育費が未払いになった際の対処法は、養育費を取り決めた方法によって変わってきます。
個人間でのやり取りでトラブルを起こさないためにも、法的に有効な手段で対処することが必要となるでしょう。
話し合いで養育費を決めた場合
「離婚時に話し合いで決定したのに、養育費の未払いが続いている」
「相手に催促しても支払いがない」
このような場合には、家庭裁判所に養育費請求の調停・審判の申し立てをします。
家庭裁判所を通じ、改めて元夫である相手と、養育費の支払いについて決め直すことになります。
家庭裁判所の調停や審判で養育費を決めた場合
家庭裁判所が、元夫である相手に約束通り養育費を支払うよう「履行勧告」を申し出ます。
履行勧告の申し出には費用はかかりませんが、相手が勧告に応じない場合、支払いを強制することはできません。
それでも養育費が支払われない場合は「強制執行」
離婚時の公正証書の取り決めや、裁判所からの履行勧告でも養育費が支払われない。
そんな場合には、地方裁判所に強制執行を申し立てることができます。
強制執行とは、相手の給与や預貯金・生命保険や動産・不動産などを差し押さえ、お金に換えられるものを換金し、養育費に充てる制度です。
特に、給与は相手の手取りの2分の1まで差し押さえることができ、会社から直接支払いをしてもらえるので、養育費未払いに有効な手段となるでしょう。
執行の申し立てに必要な費用は、原則4,000円の手数料と切手代等です。
申し立て後は裁判所が債権差押命令を出し、相手へ書面が送られ手続きが進むことになります。

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まとめ|養育費未払いは法律的な手段で解決しよう
「もう旦那とは話し合いたくないから…」
こういった理由で、離婚時に取り決めを避ける人も多い養育費。
しかし、離婚後に未払いが起こると、その話し合いは更に難航するのが現実です。
養育費は親の義務であり、子どもの生活を支えるための大切な費用です。
「離婚したのだから、養育費が未払いなのはしょうがない」
このように諦める必要はありません。
金銭的な問題のため、個人間でのトラブルを避けるためにも、養育費未払で悩んだ際には、ぜひ法的な手段で対処してみることをおすすめします。
