子どもの進学費用で頭を悩ませたとき思い浮かぶのが「奨学金制度」
奨学金に対して「大学卒業後、十数年に渡って借りた学費を返済しなければならない」というイメージを持っている方も多いと思います。
ですが奨学金の中には「返済義務のない」給付型奨学金があることをご存じですか?
2019年に国の高等教育の就学支援新制度が成立し、返済不要の給付型奨学金が大幅に拡充されることになりました。
子どもの学業成績に左右されず、世帯収入の額が対象となる給付型奨学金は、生活に不安のある母子家庭を支える心強い制度です。
今回はその”給付型奨学金の仕組み”についてご紹介していきますね。
返済不要の給付型奨学金
大学に進学する学生の約半数が利用するといわれている奨学金とは、一体どのような制度なのでしょうか?
経済的理由で修学が困難な優れた学生に学資の貸与を行い、また、経済・社会情勢等を踏まえ、学生等が安心して学べるよう、「貸与」または「給付」する制度です。
引用:独立日本学生支援機構「奨学金とは」
ここで注目したいのが、
- 大学卒業後に返済が求められる「貸与型」
- 返済が不要の「給付型」
この2種類の奨学金があるということです。
給付型奨学金は、
- 将来の返済義務がない
- 世帯の家計収入が支給条件に影響する
子どもの大学進学費用に大きな不安を抱えるシングルマザーの心強い味方となる制度です。
ぜひ前向きに検討を進めていきましょう。
給付型奨学金はどこからもらえるの?
給付型奨学金は、国や各都道府県・大学・専門学校・民間企業…と、実に様々な団体から支給されています。
そのため、支給条件や金額も各団体によって異なります。
ここでは、それぞれの団体の募集内容や支給額・特徴について確認していきましょう。
日本学生支援機構(JASSO)
日本学生支援機構(以下JASSO)は、文部科学省管轄のもと、学生に対する奨学金事業や留学支援を行う機関です。
令和元年5月、国会では大学・短大・高等専門学校・専門学校での学びを支える新しい法律が成立しました。
JASSOで2017年度に始まった給付型奨学金制度は、この法律により、2020年4月に進学する学生からその対象が大きく広がることとなりました。
経済的理由で進学を諦める学生をつくらないためにも、成績だけを判断基準とするのではなく、世帯収入の基準を満たし「学ぶ意欲」があれば、支援を受けることのできる制度となっているのが特徴です。
申し込み対象
- 世帯収入の要件に合う学生
- 明確な進路意識と強い学びの意欲がある学生
手続きの方法
在学中の学校を通じてJASSOに申し込み手続きをします。
高校3年生の夏までに本人からの申請が必要となるため、在学中の学校と相談して書類を準備しましょう。
家計基準
母子家庭の場合、住民税非課税で年間の収入金額の上限が207~221万円であることが満額受給の対象となります。
例:年間収入200万円の母子2人世帯の支給額(月額)
国立 | 私立 | ||
---|---|---|---|
自宅から | 下宿先から | 自宅から | 下宿先から |
29,200円 | 66,700円 | 38,300円 | 75,800円 |
支給額の確認には進学資金シュミレーターがおすすめ
給付型奨学金の支給額は、家族構成や各種保険料の支払い状況によって異なります。
また、進学先の大学が国立か私立か、さらにはその通学方法によっても変動します。
JASSOの進学資金シュミレーターで細かな条件設定をすれば、奨学金の支給金額を確認することができますよ。
給付型奨学金の対象条件や金額だけでなく、大学へ進学した場合の生活費についても細かくシュミレーションできます。
ぜひお子様と一緒にチェックしてみましょう。
大学・専門学校
多くの大学や専門学校では、独自の奨学金制度が設けられています。
中には、家庭の経済状況が急変した在学者を対象とした、
- 経済援助給付奨学金
- 緊急奨学金
といった制度が用意されていることもあります。
現在子どもが大学に在学中で、離婚により学費の支払いが難しい母子家庭にぜひおすすめしたい制度です。
申し込み対象
受験者・在学者のうち、学校側の指定する成績基準と家計状況の条件を満たしている者。
手続きの方法
受験時に奨学生として募集される場合もあれば、入学後に審査が必要な奨学金もある。
在学中の支給手続きには、年に2回の申請月が設けられている場合が多い。
いくらもらえるの?
授業料の全額または半額、一部免除ともらえる金額は教育機関により様々です。
大学独自の給付型奨学金は受験時の成績が影響しやすいため、早いうちから多くの学校のパンフレットや情報に目を通し、様々なケースを検討しましょう。
医療・福祉の仕事がしたいなら「返還免除制度」
貸与型奨学金の中には「教育機関を卒業した後、指定の施設で一定期間就業すること」を条件に返済が免除される「返還免除制度」という制度もあります。
医療・福祉関係の教育機関がこの返済免除の制度を設けていること多く、就職先が指定されるというデメリットはあるものの、医療系の専門職を目指す学生にとっては非常に心強い制度です。
対象となる資格
- 看護師
- 保育士
- 介護福祉士
- 理学療法士
- 作業療法士
- 社会福祉士
- 言語聴覚士 など
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給付型奨学金の申請時の注意点
前述したように、奨学金とは経済的に困難な学生を支援するための制度です。
特に返済の必要のない給付型奨学金は、金銭的に学費の支払いが難しい事情を抱えながらも、学ぶ意欲のある学生を支えるための制度です。
そのため、在学中になんらかの事情によって退学することになった場合、奨学金の返済義務が生じます。
進学から卒業までの長期的な生活を視野にいれながら申し込みを検討しましょう。

貧困母子家庭を応援する給付型奨学金
金銭的な問題を抱えこんでしまいがちな母子家庭ですが、
「子どもの大学進学の夢は諦めさせたくない」
どの家庭でもこれが共通の想いですよね。
2020年よりその内容を拡充させる国の給付型奨学金制度は、まさに経済的な問題を抱えながらも大学進学を志す学生のための制度となっています。
給付型奨学金は各自治体や大学によって条件が異なるため、早い段階で多くの情報を集めることが必要です。
将来の可能性を広げるためにも、ぜひお子様と一緒に検討してみてくださいね。
