「シングルマザーが保育士資格を取るのにメリットやデメリットはあるのかな?」
母子家庭のお母さんが「なにか資格を取ろうかな」と考えたとき、国家資格である”保育士”を検討する人は多いです。

保育士は、有効求人倍率が3.20倍と求人数が多い国家資格(2018年11月時点)です。
求人数が多い国家資格を取得すれば、経済的な不安も少しは軽くなりますよね。
ですが、実際に保育士資格を取得するとなると、
「学校に行かないといけないの?」
「保育士試験はむずかしい?」
「お給料は少ないのでは?」
こんなふうに心配になることもたくさんありますよね。
今回は保育士資格取得を考えるシングルマザーの方に向けて、実際に働きながら保育士資格を取得した筆者が保育士の資格取得方法、収入面についてご紹介していきます。
ぜひ参考になさってくださいね。
保育士免許を取るにはどうしたらいいの?
「子どものためにも安定した仕事に就きたい!」
「そのためにはやっぱり何か資格があった方がいいんじゃないかな…」
「専門性と将来性があって、自分ができる世の中で必要とされる仕事って?」
そう考えるシングルマザーにおすすめの資格が、近年需要の高まりが叫ばれている「保育士資格」です。
当時販売業をしていた私も、年を重ねてからも安定して収入を得ることができる”専門性を有した資格”を取ったほうがいいのではと考えた結果、保育士にたどり着きました。
保育士として働きたい!と考えた時、まず必要となるのが「保育士免許」です。
保育士免許は次の2通りの方法で取得できます。
(1) 都道府県知事の指定する保育士を養成する学校その他の施設で所定の課程・科目を履修し卒業する。
または
(2) 保育士試験に合格する。
参照 : 一般社会法人全国保育士養成協議会「保育士になるには」
① 対象の保育士養成学校を卒業する
メリット
保育士養成学校を卒業して免許を得るメリットは、必要な科目を履修し卒業さえすれば、保育士試験に合格しなくても保育士資格を得ることができる点です。
また、直接講師から授業を受け、他の生徒たちと刺激し合うことで専門分野への知識と理解を深めることもできます。
デメリット
デメリットは、大学や専門学校といった養成学校に通う費用や時間が必要となることです。
シングルマザーであれば、学校へ通う費用という経済的負担に加え、日常生活を送るための生活費も必要となるため、授業時間以外に働かなくてはならないケースもあるでしょう。
金銭面で支援が必要な方には給付金制度も利用できますが、平日毎日出席が必要なため、勉強時間や通学時間などの時間の確保ができる方におすすめです。
日中働きながらチャレンジする人は、夜間や通信教育で単位を取る手段もあります。
ですが、通信教育でも年に数回一定期間のスクーリング授業を必要とする場合もあるので、カリキュラムやスケジュールは事前によく確認してくださいね。


② 保育士試験に合格する
シンママさんが保育士資格を取る方法として、一番メジャーとなるのが保育士試験を受験する方法ではないでしょうか。
保育士試験は、厚生省の管轄の元、年に2回各都市で実施されています。
筆記試験は全部で8科目。
これらすべてを6割以上得点すれば合格です。
その後、実技試験に合格することで、晴れて保育士資格を得ることができます。
厚生省によると、平成27年度の筆記試験の合格率は22.8%だそうです。
合格率が決して高いと言えないのは、筆記試験8科目すべてを合格する必要があること。
出題範囲が広いわりに、問題数が少ないことが原因のようです。
しかし、1度合格した科目は以降3年間再受験が不要となります。例えば、今回2科目不合格だった場合、次回はその2科目だけを再受験し合格すればよいのです。
実際筆者も、初めての受験では1科目だけ不合格となり、次年度にその1科目を受験しなおすことで晴れて合格となりました。
ですが、保育士試験は誰もが受けられるわけではないのでその点は注意が必要です。
保育士試験の受験資格
下記が保育士試験の受験資格者です。
ご自身にあてはめて、ぜひチェックしてみてくださいね。
中学卒 | 5年以上かつ7,200時間以上、児童福祉法第7条に基づく児童福祉施設での勤務経験がある |
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高校卒 | 【平成3年3月31日以前卒業】 受験資格あり 【平成3年3月31日以降卒業】 2年以上かつ2,280時間以上、児童福祉法第7条に基づく児童福祉施設での勤務経験がある |
専門学校卒 | ① 学校教育法に基づいた専修学校である ② 卒業した過程が修業年数2年以上の専門課程である ①②を満たしていれば受験資格あり |
短大卒 | 保育士とは関係のない学科でも受験資格あり |
大学卒 | 保育士とは関係のない学科でも受験資格あり |
筆者の場合、保育士資格がほしい!と思い立ったものの、学歴が高卒だったためその時点では受験資格がありませんでした。
とはいっても、日中の時間すべてを通学にあてるような余裕もありません。
そのため、福祉系の通信制専修学校に入学し、必要単位数を取得することで受験資格を得ました。
筆者が受験した当時、保育士試験は年に一度きりでしたが、平成28年度より前期と後期の年2回に受験の回数は増やされています。
これは世の中の保育士不足軽減にむけ、保育士資格取得のチャンスがより多く設けられているということですよね。
筆記試験で落とした科目があっても、その年のうちに再受験できるのでモチベーションを維持することもできます。

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保育士の勤務場所と仕事内容
保育士資格を取得したのち、実際に自分が働く職場をイメージしてみたことがあるでしょうか?
シングルマザーにとっては、わが子がお世話になる保育所が一番身近な現場と言えるかもしれませんね。
ですが、実は保育士が活躍する場は保育所だけではないんです。
実際筆者は、保育士資格を所有していることを評価され教員補助として学校現場で勤務していた経験があります。
一度保育士資格を取得すれば、働く現場の可能性は多岐に広がっていくのです。
保育所
保育の必要な子どもに対し、発達段階に応じた援助と保育を行う。
子どもだけでなく、家庭や地域との関わり合いも必要となってくる。
院内保育
医療施設内で働く職員の子どもを預かる保育施設。
シフト制で夜間働く職員を対象とすることもあり、夜勤が必要となるケースも多い。
病児保育
体調を崩し、通常の保育園に通うことができない子どもを預かる施設。
病院に併設されている施設もあれば、直接子どもの自宅に出向き保育を行うケースもある。
企業内託児所
従業員のために企業内に設置された保育施設。
母体である企業が大きければ給料や福利厚生の面での優遇が期待できる。
ベビーシッター
利用者の自宅で身の回りの世話や、必要であれば習い事の送迎や学習のサポートも行う。
助産施設・乳児院
医師や看護師といった専門職と連携し、乳児の世話や母親の育児指導を行う。
母子生活支援施設
母子生活支援施設は、18歳未満の子どもを養育する母子家庭や、何らかの事情により離婚できずにいる母子家庭に準ずる母と子が利用することができる施設。
保育士は入居している児童の保育や学習・生活指導を通して母子の自立を支援する。
児童厚生施設
児童館や児童クラブといった場で、遊びの提供と学習の指導を行う。
児童養護施設
保護者のいない児童や何らかの事情で保護者とともに生活することができない児童が入所する施設。
その生活に寄り添いながら生活習慣や学習指導などの援助を行う。
障害児入所施設・児童発達支援センター・児童心理治療施設
身体的・心理的に障害や困難を抱える子どもに対し、他の医療専門職と連携を図りながら生活や学習に対する援助を行う。
児童自立支援施設
犯罪行為や家庭環境上の理由で家庭にいられない児童が入所する施設。
児童生活支援員として、生活・学習・作業の各指導を行う。
児童家庭支援センター
地域の子どもが抱える様々な問題に対して、専門的な立場から必要な助言や指導を行う。
実際、現場で経験を重ねた保育士が勤務するケースが多い。


保育士の収入ってどのくらい?
多くの場での活躍が期待される保育士ですが、シングルマザーとしてはその収入面が安定しているのかどうかが気になるところですよね。
保育士の平均賃金
出典 : 平成28年賃金構造基本統計調査
ごらんのように、保育士の平均年収は他の職種と比べると決して高くないことが分かります。
保育士の離職理由として、その賃金の安さがあげられるのも納得してしまいますね。
ですが、これから保育士資格を取得する上で注目すべきは「処遇改善による賃金のアップ率」です。
保育士の処遇改善の推移
出典 : 厚生労働省「保育士の平均賃金」
平成24年からの5年間で、平均月額賃金は約10%+最大4万円増加していることが分かります。
また、現在厚生労働省は保育士確保に向けて更なる賃金の上乗せやその他の処遇を検討しています。
そういった将来性を考慮すると、保育士資格はシングルマザーがこれから取得する国家資格として決して損のない資格だといえるでしょう。

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保育士として働くメリットとデメリット
将来性を感じることのできる保育士。
シンママが実際に保育士として働くにあたって、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
シングルマザーが保育士になるメリット
需要がある
「子どもに何かあった時にどうするの?」
「休みがないけど大丈夫なの?」
母親が仕事を見つけるのは簡単なことではないですが、シングルマザーとなるとそのハードルはより高くなってしまいます。
しかし、保育士の需要が高まっている保育現場では「保育士資格」を所持していることが大きな強みとなります。
「世の中のAI化が進み、多くの職種がAIに成り代わるのでは…」
こんなことが心配されていますが、人と人とが直接的に関わり合わなければ成り立たない「保育士」という仕事は、将来性がある専門職のひとつであると言えます。
勤務スタイルを選ぶことができる
保育士の活躍する現場は、保育所だけでなく多岐にわたります。
現場によっては、早朝・夜勤・短時間とその勤務時間帯も様々です。
「子どもがいない平日の昼間に合わせて勤務したい」
「周りのサポートを受けながら賃金の高い夜間帯に勤務したい」
など、母子家庭それぞれのスタイルに合わせた勤務時間に合わせて職場を選ぶことができます。
やりがいがある
保育士は直接子どもや家庭・地域と関わり合う仕事です。
自分自身の保育経験や、シングルマザーであるからこその経験を職場で活かすこともできます。
子どもの成長を間近で感じることのできる保育士は、大変やりがいのある仕事のひとつだと言えます。
シングルマザーが保育士になるデメリット
保護者対応が大変
モンスターペアレンツ、という言葉が流行っていますが、保育士が退職する理由のひとつとして「保護者対応のストレス」があげられます。
特に、地域に密着した保育所での勤務の場合は保護者との密な連携も必要となるため、保護者からの意見や交流がプレッシャーとなるケースも多く見られます。
シングルマザーでも既婚者でも独身者でも、「保育の専門家」として働く事に変わりはありません。
困難なケースに当たった際には、職場の上司などに相談してサポートを受けることが必要です。
早朝や夜間のシフトが多く持ち帰り仕事がある
仕事で不在となる保護者に代わり、子どもを保育する場面の多い保育士。
その勤務時間は早朝から夜遅くまでと幅広く、行事が近くなれば家に仕事を持ち帰らなければ終わらないこともあります。
シングルマザーの場合はご自身の家庭環境に合わせ、職員の多い施設や勤務時間を選びやすい職場を選択した方が良いでしょう。
お給料が安い
他の職種と比べて、保育士の給料は決して高いものではありません。
あなたがシングルマザーであれば、より確実で安定した収入を得たいものですよね。
ですが、保育士への給料の処遇は改善方向にあり、その将来性を考えると安定して収入を得ることのできる職種のひとつだといえます。
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まとめ
待機児童問題と保育士不足が問題となっている現在、保育士資格は国の将来のニーズに沿った国家資格だといえるでしょう。
他の職種と比べると収入は高くはないものの、処遇改善による年収アップを期待することのできる仕事のひとつです。
また、自分の生活スタイルに合わせて職場を探すことができるため、シングルマザーにとって貴重な資格・仕事のひとつです。
有効求人倍率が高いため、シングルマザーというハンデであっても保育士資格を取得していることは大きな強みとなり、安定した仕事として将来に役立つでしょう。
